ところで本書については、朝日新聞が「ゼロ年代の五〇冊」(二〇〇〇~二〇〇九の図書対象)を選んだ企画で、なんとベスト1になったと報道されていて、驚いた。たしかにベスト1に輝くだけの名著ではあるが、ゼロ年代の読者やインテリたちにとってどのように映ったのか、いささか訝しい。というのも、その他のベスト49には、この手の本がほとんど一冊も入っていないからだ。 タイトルが気になる「銃・病原菌・鉄」を読んでみました。「なぜ世界で発展した地域とそうでない地域があるのか?」といった謎に迫る本書。大人の教養を得るためにオススメの本として度々紹介されるけど納得の内容です。 この銃・病原菌・鉄はその種本として病原菌や動植物の植生と大陸の構造などをウィリアム・マクニールの『疫病と世界史』とアルフレッド・クロスビーの『ヨーロッパ帝国主義の謎』に大部分負っているが、マクニールからは本書は痛烈に批判されている。 ジャレド・ダイアモンドの代表作であり世界中で翻訳されている「銃・病原菌・鉄」をやっと読みました。, 「やっと」とあえて書いたのは、この本は世界の著名な起業家たちが推薦してる本で、存在はずっと前から知っていたもののなかなか手をつけられずにいたからです。, この本がこれほどまで世界中で評価される理由は、それまでヨーロッパ人が世界を征服できた理由は「人種的に優秀だったから」とされていたものを、「人種の優劣など存在せず、ユーラシア大陸が東西に長かったから」という衝撃的な考察を元に人類史を再構築したからです。, 僕は本の要約が大嫌いです。書いた方は読んだ内容を整理できるでしょうが、まだ本を読んだことがない人がそれを読んでも何の学びにもなりません。しかしYouTubeが人気を博し、文章を読む力が失われた今、この手の要約動画は大人気です。実際、この銃・病原菌・鉄も要約動画が多数出され、何十万という再生数を稼いでいます。残念なのはこの動画を見て銃・病原菌・鉄を理解した気になり本を読まない人がたくさんいることです。著者の印税にならないのも問題ですが、うわべをなぞっただけの軽薄な知識で満足するのも大問題です。いくつか要約動画を見ましたが、この800ページを超える壮大な人類史の魅力を伝え切れているとは到底思えませんでした。, したがって僕もこのnoteで要約を紹介するなんて愚かなことはしません。本くらい自分で読めといつも言っています。ぜひ皆さんは興味を持ったら本を買って自分の頭で読んでください。, さて、前置きが長すぎるいつもの悪い癖が出ましたが、この本で印象的だったのは「環境の重要性」です。ヨーロッパが世界を征服できたのはユーラシア大陸が東西に長かったから、というのは、ヨーロッパが他の大陸と比べて進化に適した環境にあったからと言い換えることができます。, ひとつ具体例を紹介します。緯度が一緒ということは人類の発展において非常に重要だとジャレド・ダイアモンドは説いています。人類が発展する際、最も重要なのは狩猟採集民族から農耕民族へ移行することです。狩猟採集とは今日食べるものを今日狩って今日食べるというその日暮らしの生活です。今日を生きるのに常に精一杯なわけですから、いつまでたっても「明日もっと楽に生きるにはどうしたらいいんだろう」と未来を考える余裕がないわけです。, 一方で農耕民族は食料を栽培し、家畜を育てます。今日食べる分も、明日食べる分も、育てている作物や家畜でまかなえばいいので、その日ぐらしではありません。明日、明後日、もっと楽に生きるにはどうすればいいんだろうとより良い方法を考えることに頭を使うことができます。このように人類が発展するにはまず、狩猟採集をやめて農耕民族に移行する必要がありました。, そこで重要だったのが緯度です。例えば小麦は気温が月平均14℃程度、収穫前の成熟期に月平均20℃程度、年降水量は500mm~750mm程度という限られた条件の元でしか育ちません。当然、とても寒い地域やとても暑い地域では育ちません。ここで大切なのが緯度です。基本的には同じ緯度にある地域は、気温も同じような範囲に収まります。しかし違う緯度になれば気温もガラッと変わってしまいます。ユーラシア大陸はご存知の通り東西に長い大陸です。多少の標高差はあれ、小麦が栽培できる気温の地域が、同じ緯度に沿って東西に長く分布しています。これによってユーラシア大陸の広範囲で小麦が栽培でき、他の大陸よりも早く狩猟採集民から農耕民に移行できたのです。一方でアフリカ大陸やアメリカ大陸は南北に長い大陸です。ある地域では小麦を育てられても、ある地域ではできません。このように作物が南北方向に広まることは難しく、アフリカ大陸やアメリカ大陸に住む人類は農耕民に移行するのに時間がかかりました。, もちろんこれはヨーロッパが世界を征服できた理由の本の一部で、ジャレド・ダイアモンドが伝えたかったことは本を読まないと分かりません。しかし環境がいかに大切かを学べるいい例だと僕は思います。人はどこで生まれ、どこで育てられるかを決めることはできません。ユーラシア大陸に生まれた人たちはたまたま条件が揃っていたために作物を育てることができ、繁栄できただけです。これは現代の僕らも一緒で、根本的な頭の優劣はなく、どこで学び、どこで働くかによって年収や人間関係が変わるということに置き換えることができます。, 特に僕が印象的だったのは「人口が密集した地域では近隣の社会と貿易したり争う機会が多く、その度に優れた技術を学び、より高度にするためのチャンスがあった」という箇所です。南アメリカではかつてインカ帝国が栄えていましたが、1533年にスペイン人によって滅ぼされました。200年に渡り栄えた帝国でしたが、彼らは文字を持ちませんでした。その理由の一つが近隣に文字を持つ文明が存在せず、文字を持つことの有用性に気づくことがなかったからです。このように人口が増えたとしても、自分たちより優れた技術を持つ文明と接触することがなければさらなる発展に繋がらないのです。, 現代に生きる我々に置き換えるなら「同じコミュニティで群れていても進化することはない」と言えるのではないでしょうか。僕も経験がありますが、いつまでも同じ人たちと一緒にいても、居心地はいいかもしれませんが新しいチャレンジはできません。自分よりすごい人や、自分にはない価値観を持った人と会い、刺激をもらい続けることで強くなれたと僕は思っています。人間、新しいものと出会うのは誰しも怖いものです。自分より強い人に出会うと、「俺は負けてる......」と自信を失うこともあるでしょう。たいていの人はこのような状況に陥ると、「こいつは何かズルいことをしてるに違いない。無視しよう。」と拒絶します。しかし自分よりすごい人の存在を認め、悔しいけど反省をして、自分に足りないものを相手から学び取ってやろうという気概がないと、いつまで経っても前に進めません。インカ帝国が文字を持たず、他国の侵略に対抗する術を持たなかったように、いろんな人や集団とぶつかり合って学ばない限り、井の中の蛙のままです。, ここまで紹介したのは「銃・病原菌・鉄」のほんの一部ですが、本書には今を生きる我々にとっても示唆に富んだ箇所がたくさんあります。よく「歴史ものとか読んで何か意味あるの?」と聞かれますが、人類の歴史は繰り返しています。人類が過去に犯した過ちや、先人の成功体験を追体験することで、不確実な未来でミスをする確率を減らし、成功する確率を高めることができます。だから僕は歴史書は読むに値し、良い人生を歩むためのヒントをくれると考えています。, 「銃・病原菌・鉄」は非常に長く、難しい箇所も多々あります。しかしこれくらい読めるようでないと、自分の頭で考え、強くなることはできません。遥か昔の人間の物語も、自分だったらどうしただろうか、今の時代に置き換えるとどういうことだろうか、と考えながら読むことで身近に感じられます。, ぜひこの本を手に取り、人類1万3000年の歴史を紐解く知的好奇心の旅へ出発しましょう。, 大学休学中。ジャンル問わず最強になるための情報発信をしています。読者の方を集めたイベントを全国で開催しています。.  漢字はどうか。漢字は複雑で難解だから近代世界に広まらなかったのではない。あまりにその数をふやしすぎたのだ。アルファベットは三〇程度の文字と四〇程度の音素の組み合わせなのである。組み合わせに力がついていく。ロジックで人をねじ伏せたくなっていく。文字を早期に発明した社会は、文字の曖昧性を減少させる試みをしなかったのだ。これに対してギリシア人はフェニキアから文字を借用してくると、さっそくそこに自分たちの母音を加えてギリシア語アルファベットにして機能を絞りこみ、その汎用性を確立した。  ダイアモンドの著作については、ぼくは最初に『人間はどこまでチンパンジーか?』(新曜社)で唸り、『セックスはなぜ楽しいか』(草思社)で目の鱗が落ちた。両方とも長谷川寿一・眞理子夫妻による翻訳だった。二人ともしょっちゅうアフリカに行っている進化人類学者だ。以前から、ぼくは長谷川眞理子さんが推奨したり翻訳したりしている本を信用している。工作舎ではヘレナ・クローニンの『性選択と利他行動』を訳してもらった。それはそれとして、ダイアモンドが一万三〇〇〇年を股にかけた大部の『銃・病原菌・鉄』のようなものを書く研究者だとは思っていなかった。もっと個別領域のエキスパートかと想像していた。しかしあるとき福原義春さんからジャレド・ダイアモンドの新しい本はいいねと言われて、手にとった。, 本書が書かれた一九九七年は、世の中でやっとグローバリゼーション議論やグローバリズム批判が出始めたころだ。そのため本書はそのような観点からも評価されて、ピュリッツァー賞やコスモス国際賞を受賞した。  一五〇〇年代、技術と政治のレベルにおいて世界大陸間の格差が確立しつつあったのである。この時点でヨーロッパ、アジア、北アフリカで強大な国家(帝国)が形成され、金属製の道具や武器を使う生活をしていた。鋼鉄の「文明の利器」をもったヨーロッパの帝国群が、農耕と牧畜と石材のアンデスの国や民を一網打尽にすることは容易なことだった。 新事業・サービスの開発や中期計画策定に役立つ  神聖ローマ帝国の先兵たるピサロがインカ帝国のアタワルパの王族を壊滅させたとき、猛威をふるったのは新たな文明圏がもちこんだ病原菌だったのである。それはすでにスペイン人の体にとっては免疫となっていたものだった。旧世界の一五〇〇年代は「家畜がくれた死の贈りもの」をまともに食らったのだ。, 本書はこのあと第四部に移って、第一五章「オーストラリアとニューギニアのミステリー」、第一六章「中国はいかにして中国になったのか」、第一七章「太平洋に広がっていった人びと」、第一九章「アフリカはいかにして黒人の世界になったか」を論じて、本書の重大な“折り目”にあたる一五〇〇年代に世界文明がすっかり入れ替わってしまったことを、第一八章「旧世界と新世界の遭遇」でふたたび強調しておわっていく。 『銃・病原菌・鉄』(じゅう・びょうげんきん・てつ)は、ジャレド・ダイアモンドによる1997年刊行の学際的なノンフィクション書籍。原題はGuns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societiesといい、かつての原題はGuns, Germs and Steel: A Short History of Everybody for the Last 13,000 Yearsであった。草思社により2000年に刊行された翻訳にも「1万3000年にわたる人類史の謎」という副題が付けられている[1]。1998年にピューリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)とアベンティス科学図書賞を受賞した。この本に基づいたドキュメンタリーがナショナルジオグラフィック協会により制作され、2005年7月にPBSで放送された[2]。, 本書はユーラシアや北アフリカの文明がなぜ生き残り、他の文明を征服してきたのかについての説明を試みており、ユーラシアの覇権はユーラシアの知的、道徳的、または固有の遺伝的優位性に起因するものであるという考えに反論している。ダイアモンドは、人間社会の間の権力と技術の差は主に環境の差異に起因しており、これが様々なポジティブフィードバックのループにより増幅されると主張している。また、文化的あるいは遺伝的な差異がユーラシア人を有利にした場合(例えば、書記言語やユーラシア人の間での風土病に対する抵抗力の発達など)、そのような優位性は地理が社会や文化に影響を与えた(例えば、異なる文化間の商業や貿易を容易にするなど)ために生じたものであり、ユーラシア人のゲノムに生来あったものではないと主張している。, プロローグは、ダイアモンドとニューギニアの政治家ヤリとの会話で始まる。会話は、ヤリの人々と200年間その地を支配してきたヨーロッパ人との間にある明らかな権力と技術の差、そのいずれもヨーロッパ人の遺伝的優位性によるものとは考えられない差に焦点をあてたものであった。ヤリは発明品や製造品を意味する現地の言葉「カーゴ」を用いて、「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」と尋ねた。, ダイアモンドは同じ質問が他の場所にも当てはまると気づいた。「ユーラシア大陸系の民族...が、世界の富と権力を支配している。」他の民族は植民地支配から脱却した今でも富と権力で遅れている。さらに「白人の入植者によって殺戮され、征服され、あるいは絶滅させられている」。, 他の大陸の人々(サブサハラアフリカ、アメリカ先住民、オーストラリア先住民、ニューギニア人や熱帯東南アジアの原住民)は、大部分が征服され、強制退去させられ、いくつかの極端なケース(アメリカ先住民、オーストラリア先住民、南アフリカの先住民コイサン)では、ユーラシア人やバントゥーのような農耕ベースの社会により大部分が絶滅させられた。ダイアモンドは、これらの社会の技術的・免疫学的な優位性は最後の氷河期以後に農業が早くから生じたことに起因したと考えている。, この本のタイトルは、農耕をベースとした社会が他の地域の人々を征服し、時に数で圧倒的に劣るにもかかわらず支配を維持した手段に言及したものである。優れた武器は即時的な軍事的優位を提供した(銃)、ユーラシアの病気は免疫を持たない地域の人々を弱らせ、減少させ、支配を維持することを容易にした(病原菌)、耐久性のある輸送手段(鉄)は帝国主義を可能にした。, ダイアモンドは、安定した農耕社会の初期の発展に有利な地理的、気候的、環境的特徴が、最終的には農耕動物に特有の病気に対する免疫をもたらし、他者を支配することができる強力で組織化された国家の発展につながったと主張している。, ダイアモンドは、ユーラシアの文明は巧妙さの産物ではなく、機会と必要の産物であると主張している。つまり、文明は優れた知性から生まれたものではなく、ある前提条件により可能となった発展の連鎖の結果である。, 文明への第1歩は、遊牧的な狩猟採集から、根づいた農耕社会への移行である。この移行にはいくつかの条件が必要である。その条件は貯蔵に耐えうる高炭水化物の植物へのアクセス、貯蔵を可能にするのに十分乾燥した気候、そして家畜化するのに十分従順で、飼育下でも生き延びるのに十分な能力がある動物へのアクセスである。農作物や家畜を管理することで食料は余剰になる。余剰があることで人々は栄養補給以外の活動に専念することができ、人口増加を支えることができる。専門家と人口増加の組み合わせが、社会的・技術的革新の蓄積をもたらし、互いに積み重なっていく。大きな社会は支配階級とそれを支える官僚制を発展させ、これらが国民国家と帝国の機構につながる[3]。, 世界のいくつかの地域で農業が発達したが、ユーラシアでは家畜化に適した植物や動物種がより多く入手可能であったため、早くから優位に立つことができた。特にユーラシアには、オオムギ、2種類の小麦、タンパク質を豊富に含む3種類の食用豆果、織物用の亜麻、そしてヤギ、ヒツジ、ウシがある。ユーラシアの穀物はアメリカのトウモロコシや熱帯のバナナよりもタンパク質が豊富であり、種まきが簡単で、貯蔵も容易であった。, 西アジアの初期の文明が交易を始めた際、彼らは隣り合う地域でさらに有用な動物を発見した。なかでも特に輸送用のウマやロバである。ダイアモンドは、ユーラシアで飼育されていた100ポンド (45 kg)以上の大型動物は13種であり、南米では1種(ラマとアルパカは同一種と数える)に過ぎず、その他の地域では全く飼育されていないことを確認している。オーストラリアと北アメリカでは更新世が終わった直後に有用な動物が人間の狩猟により絶滅したため、そのような動物が不足しており、ニューギニアで唯一家畜化された動物は約4000-5000年前のオーストロネシア人の入植時に東アジア大陸から来たものである。シマウマやアジアノロバを含むウマの生物学的な親戚は飼いならすことができないことが判明した。アフリカゾウは飼いならすことができるが、飼育下で繁殖させることは非常に困難である[3][4]。ダイアモンドは、家畜化された種の数の少なさ(148の「候補」のうち14)をアンナ・カレーニナの原則の例(多くの有望な種は家畜化を妨げるいくつかの重要な問題のうち1つだけを持っている)を説明している。彼はまた、家畜化される可能性のある大型哺乳類がすべて家畜化されてきたという主張もしている[3]。, ユーラシア人は皮や衣服やチーズのためにヤギやヒツジを、牛乳のために乳牛を、畑の耕起や輸送のために雄牛を、そしてブタやニワトリのような良い動物を家畜化した。ウマやラクダのような大型の家畜は、移動輸送のための軍事的・経済的な利点が大きかった。, ユーラシアの広大な土地と東西に距離が長いことがこれらの利点を高めた。国土が広いことで家畜化に適した植物や動物の種類が増え、人々は技術革新と病気の両方を交換することができた。東西方向に長かったため、気候や季節のサイクルが似ており、大陸の1つの地域で飼育されていた品種を他の地域で使うことができた。アメリカではある緯度で飼育されていた作物を他の緯度で適応させることは困難であった(北米ではロッキー山脈の片側の作物をもう一方の片側に適応させることはあった)。同様に、アフリカも南北で気候が極端に変わり分断されており、1つの地域で繁栄した作物や動物は、他の地域との間の環境を生き残ることができなかったため、繁栄する可能性のある他の地域に到達することができなかった。ヨーロッパはユーラシアが東西方向に伸びていることによる利益を最終的に受けるものであった。紀元前1千年紀にはヨーロッパの地中海地域が南西アジアの動植物や農業技術を採用し、紀元1千年紀にヨーロッパの他の地域がそれに倣った[3][4]。, 豊かな食料の供給とそれを支える人口密集が分業を可能にした。職人やスクライブなどの非農業専門家の台頭は、経済成長と技術進歩を加速させた。これらの経済的・技術的優位性は、最終的にヨーロッパ人が本書のタイトルになっている銃と鉄を用いてここ数世紀の間に他の大陸の人々を征服するのを可能にした。, ユーラシアは人口密度が高く、交易が盛んで、家畜に近い場所で生活していたため、動物から人間への感染を含む病気が広範囲に伝播した。天然痘、麻疹、インフルエンザは動物と人間が近接していることにより発生した。自然選択により、ユーラシア人は様々な病原体に対する免疫力を身に付けなくてはならなかった。ヨーロッパ人がアメリカ大陸と接触したとき、ヨーロッパの病気(アメリカ人には免疫がなかった)は逆ではなくアメリカの先住民を襲った(病気の「交易」はアフリカと南アジアではもう少しバランスがとれていた。この地にはマラリアと黄熱病があり、「白人の墓場」と呼ばれる悪名高い地域であった[5]。さらに梅毒はアメリカ大陸に起源を持つ可能性がある[注 1]。ヨーロッパの病気(この本のタイトルの病原菌)は比較的人数の少ないヨーロッパ人がその支配を維持できるように、先住民族を滅ぼした[3][4]。, ダイアモンドは、中国のような他のユーラシアの大国ではなく西ヨーロッパの社会が支配的な植民地化を行ってきた理由として地理的な説明を提案している[3][6]。ヨーロッパの地理は山、川、海岸線といった自然の障壁が多く、こうした障壁に囲まれるより小さくより密集した国民国家が割拠するバルカニゼーションをもたらすと主張している。それぞれの小国は近隣国の脅威にさらされているため、経済的・技術的な進歩を抑制するような政府は、比較的早く打ち負かされることを防ぐために、すぐに誤りを修正しなければならなかった。地域を主導する勢力は刻々と変化し、ヨーロッパを統一するような支配者は登場しなかった。一方、ヨーロッパ以外の先進文化は、大規模で一枚岩の孤立した帝国を形成するような地理的条件のもとで発展した。こうした帝国には、例えば外航船の建造を禁止した中国のように誤った政策をとった際、考えを改めさせるような競争相手は存在しなかった。中国では王朝が技術の発展を止める決定を行うことがしばしばあったが、禁じられた技術は帝国の全土から消え失せ、以後発展することはなかった。一方統一王朝のないヨーロッパでは、一つの国がある技術を抑圧しても、どこかの国がその技術を受け入れて発展させる余地があり、他国に取り残されることを避けるために他国の取り入れた技術は受け入れざるを得なかった。西ヨーロッパは、激しい農業が最終的に環境にダメージを与え、砂漠化を促し、土壌肥沃度を低下させた南西アジアよりも温暖な気候の恩恵を受けた。, 都市は十分な食料供給を必要とし、それゆえ農業に依存していると主張している。農家が食料を供給する仕事をするため、分業が他の人に採掘や識字など他の機能を追求する自由を与えている。, 農業の発展のための重大な罠は、家畜化に適した野生の食用植物を入手することができることである。肥沃な三日月地帯には栄養価が高く家畜化しやすい野生の小麦や豆類が豊富にあったため、農業が早くから始まっていた。対照的に、アメリカの農家はその可能性の高い祖先、テオシントから有用な食品としてのトウモロコシを開発するために苦労する必要があった。, また、狩猟採集社会から都市で生活する農耕社会への移行には、食肉や仕事、長距離のコミュニケーションのために飼育される「大型」の家畜の存在も重要であった。ダイアモンドは、世界に14種の家畜化された大型哺乳類がいると確認している。最も有用な5つ(ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ)はすべてユーラシアの固有種の子孫である。残りの9種のうち、ユーラシアの温帯地域以外の土地に固有種がいるのは2種(南米のラマやアルパカ)だけである。, アンナ・カレーニナの原則により、家畜化に適した動物は驚くほど少ない。ダイアモンドは、動物が十分に従順であること、群生すること、飼育下での繁殖を厭わない、社会的優位のヒエラルキーを持っているなど6つの基準を特定している。そのため、シマウマ、レイヨウ、アフリカスイギュウ、アフリカゾウなど多くのアフリカの哺乳類は家畜化されなかった(飼いならすことはできるが、飼育下での繁殖は容易ではない)。完新世の絶滅(en:Holocene extinction)で生き残っていれば候補種となっていたかもしれない大型動物相の多くが絶滅したが、ヒトを経験したことのない動物がすでに高度な狩猟技術を持っているヒトにさらされた大陸(アメリカ大陸やオーストラリア大陸など)では、絶滅のパターンがより深刻であると主張している。, イヌ、ネコ、ニワトリ、モルモットなどの小型の家畜は農業社会にとって様々な意味で価値があるかもしれないが、それだけでは大規模な農業社会を維持するのに十分ではない。その重要な例は、牛や馬などの大型動物を使い土地を耕すことであり、これによりヒトの筋力だけで行うよりも農作物の生産性が格段に上がり、土地や土壌の種類の範囲も格段に広がった。大型の家畜動物は物資や人の長距離輸送にも重要な役割を果たしており、それらを飼っている社会は軍事的にも経済的にもかなりの優位性を保持している。, ダイアモンドは、地理が人口移動を形づけたと主張する。それは、単に旅行を(特に緯度により)難しくすることによってではなく、家畜動物がどこに容易に移動することができ、作物が太陽によりどこで理想的に容易に成長することができるかに影響を与えるかによってである。, 最も有力なアフリカ単一起源説では、現代人はある時期にアフリカ大陸の大地溝帯の東側で発展したという説を支持する。サハラ砂漠は人が北に移動し肥沃な三日月地帯に行くのを妨げ、その後、ナイル川の渓谷に人が収容された。, ダイアモンドは、近代にいたるまでの人類の発展の物語を、テクノロジーの急速な発展とそれが世界中の狩猟採集文化に与えた悲惨な結果を通して描き続けている。, ダイアモンドは、過去500年間に支配力を持った大国が東アジア(特に中国)よりもむしろ西ヨーロッパであった理由に触れている。大規模な文明が生じたアジア地域は大規模で安定して孤立した帝国を形成するのに適した地理的特徴を持っていたが、変化への外圧に直面せずそれが停滞につながった。ヨーロッパの多くの自然障壁は競い合う国民国家の発展を可能にした。このような競争により、ヨーロッパは技術革新を奨励し、技術的停滞を回避することが助長された。, 後のヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸の植民地化の文脈では、先住民の95%はヨーロッパ人が持ち込んだ病気により死んだと考えられている。多くは天然痘や麻疹などの伝染病により死んだ。オーストラリアや南アフリカでも同様の状況が見られた。オーストラリアのアボリジニやコイコイ人は天然痘、麻疹、インフルエンザなどの伝染病により多くが死んだ[7][8]。, アメリカ大陸にあった病気によりヨーロッパ人が死ななかったのはなぜだろうか? ダイアモンドは、これらの病気のほとんどは村や都市の人口密度の高い集団の発達し、維持されてきたのではないかと推測している。彼はまた、ほとんどの伝染病は家畜の同様の病気から進化したと述べている。農業に支えられた人口密度の増加と、家畜化された動物と人間の密接な関係を併せた効果により、動物の病気が人間に感染し、結果としてヨーロッパ社会は、ヨーロッパ人が自然淘汰により免疫を獲得する(黒死病やその他の伝染病参照)危険な病原体を、ネイティブアメリカンの狩猟採集民や農民よりも長い時間かけて獲得した。, ダイアモンドは、ヨーロッパのアフリカ進出を制限した熱帯病(主にマラリア)を例外として挙げている。また、固有の伝染病は東南アジアとニューギニアへのヨーロッパの植民地化の障害となっていた。, 『銃・病原菌・鉄』はなぜある集団が成功したのかに焦点を当てている。後に出版された本『文明崩壊――滅亡と存続の命運を分けるもの』では、ある集団が失敗する原因となった環境やその他の要因に焦点をあてている。, 1930年代、フランスのアナール学派は地理学、歴史学、社会学を総合して長期的な歴史構造の研究を行った。学者たちは地理、気候、土地利用の影響を検討した。米国では1960年代以降、地理学は学問としてほぼ排除されていたが、1990年代には地理学に基づく歴史学の理論がいくつか発表されている[9]。, 1991年、ジャレド・ダイアモンドは、『人間はどこまでチンパンジーか?――人類進化の栄光と翳り』(第4部)の中ですでに「なぜユーラシア人が他の文化を支配するようになったのか?」という問いについて考察している。, 多くの人が本書の様々な主題を統合しているところを称賛しているが、扱う範囲が広いため不正確な点や過度に単純化した点が出てきてしまうところに注意を払っている。国際関係学者のアイヴァー・ノイマン(London School of Economics and Political Science)とEinar Wigen(オスロ大学)は自らの学際的な研究の箔として本書を使用している。彼らは「もちろん経験的な詳細は正しくなければならないが、この種の研究のための第1の基準は、細かいことに注意を払うことではない」と書いている。「ダイアモンドは、この大きさの問題複合体は根本的に複数の原因によるものでなければならず、そこで要素の1つの複合体、いわゆる生態学的なものに取り組むことにしたと明確に述べている」と発言し、ダイアモンドは、「すぐに彼が描いた異分野の専門家から激しい非難を浴びるようになった……同じ包括的な問題複合を理解するために誰かがダイアモンドの資料を解釈して、資料に追加するより良い方法を思いつくまで、彼の資料は世界のある一部が支配的になった理由に対する生態学的前提条件の中で利用可能な最高の対処法である」[10]。歴史家Tom Tomlinsonは、最終的に『銃・病原菌・鉄』を称賛するレビューの中で、「自分自身に課した仕事の大きさを考えると、ダイアモンド教授が自分の議論を埋めるために非常に広範な筆力を使うことは避けられない」と書いている[11]。, エモリー大学の歴史家Tonio Andradeは、ダイアモンドの著書は「あらゆる点でプロの歴史家を満足させないかもしれない」が、 「旧世界と新世界で起こった異なる発展について大胆で説得力のある説明をしている(彼はアフリカとユーラシアを分ける試みには説得力がない)」と書いている[12]。歴史家J.

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